まるしん's diary

丸山伸一のブログです。日常の出来事(主にプライベート)、読書・映画評などを綴ります。

君は博多祇園山笠を見たか!

伝統の民族文化、担い手と目撃者たち 

 初めて見た。774年の伝統を持つ国重要無形民俗文化財博多祇園山笠。 

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 東京から福岡へ転勤してきてほぼひと月というところで、博多祇園山笠のメーン会場・櫛田神社(福岡市博多区)の桟敷席チケットをいただいた。いま福岡は梅雨の真っ最中。鈍色の空に雨を覚悟しつつ、わくわくしながら祭りに向かったのである。

 

FBS福岡放送が完全生中継

 きょう7月12日(日)の山笠行事は「追い山ならし」だ。15日(水)早朝に行われる本番(「追い山」)とほぼ同じコースを走る、いわば最終リハーサル。FBS福岡放送が完全中継する。松井アナ(中央)と、視聴者に人気の今村キャスター(左)。

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 祭りの主役は、博多の七地区(七つに分けられた地区のことを流=ながれ=という)それぞれの神輿に当たる「山笠」を担ぐ計6、7000人の男たちだ。そろいの水法被・締め込み姿は勇壮、華麗だが、初めて見る者にとって、このふぞろいの「尻」たちは、やや不快だ(笑)。

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 いよいよ山笠が櫛田入り

 午後3時59分、トップを切って大黒流(だいこくながれ)の舁き山(かきやま)笠が「櫛田入り」した。オイッサ、オイッサの掛け声と万雷の拍手・歓声の中、栄誉ある一番山笠として櫛田神社境内に勢いよくなだれ込み、一本幟の立った清流をぐるり回る。

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 途中止まって、一番山笠にだけ許される「博多祝い唄」を宮司らの前で唱和する。それが下の写真だ。

 「祝いめでたの若松様よ 若松様よ 枝も栄ゆりゃ葉もしゅげる エーイーショウエ エーイーショウエー ショウエイ ショウエイ ションガネ アレワイサソ エサソエー ショーンガネー」と唄うのだそうだが、ボクは知らず。でも桟敷席の博多っ子たちはほぼ全員、声を上げて唄っていた。さすがである。 

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 このあと、どどどーーっと神社を出て博多の町中に繰り出していくのだが、後ろから山笠の担ぎ手たちを「押す」、必死の形相の男たちがたくさんいて、これが迫力を増していることに感心した。山笠の上からは、押し手を煽る三人の男が檄を飛ばす。転んで後続に踏まれるなんて日常茶飯事のようだ。山笠は前だけでなく、後ろも燃えているのだ。

 

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 二番、三番……。七番山笠「土居流」までタイムを競う! 

 続いて二番山笠「東流(ひがしながれ)」、三番山笠「中洲流(なかすながれ)」、四番山笠「西流(にしながれ)」と続き、七番山笠「土居流(どいながれ)」まで七つの舁き山が登場する。祭礼にしては珍しく、巡行コースの所要時間を計測するから、男たちの「負けてはならじ!」の思いが観客にも伝わり、ともに緊張と興奮が高まっていく。それが山笠の魅力なのだという。

 

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 なお、前出「舁き山(かきやま)」は担いで走る山笠のことで、反対語は「飾り山」。飾り山は高さ10m以上もある。昔は飾り山が、「ねぷた」のように町中を巡っていたが、電線を切ったり民家の屋根を壊したりしたため明治政府が山笠の中止を命じた。ならばと背丈の低い舁き山形式にして再開したのだが、舁き山でも一つ600~700kgあるという。

 お蔵入りした格好の飾り山は、例年7月1日から15日まで、福岡市内各所に飾られ、観光客の目を楽しませている。下の写真は「奉納十六番山笠・天神一丁目」という飾り山で、大丸百貨店、西日本新聞社などが入るエルガラービルに設置されている。

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 終盤、やっぱり雨が降ってきた

  やれやれ、六番山笠「恵比須流(えびすながれ)」のあたりから、パラパラと大粒の雨が。やっぱり来たかと思ったが、周囲を見渡しても誰一人傘をさす者なし。午後5時前、無事に追い山ならしは終了。次第に雨脚が強くなる中、登山用のカッパとレインハットをかぶり、祭りの興奮を引きずりながら、帰路についた。

 伝統・歴史好きにはたまらない一日でした。