【山の記録】今夏は“撤退”=北アルプス・徳本峠、奥又白池
目指したのは、奥又白池だ。上高地・徳沢から新村橋を渡り、難所・松高ルンゼに沿った中畠新道を登った終点にある天空の池。クライマーたちの前線基地でもある。急な岩場もあるため、ザイル、カラビナなども用意して臨んだのだが…。残念な【山の記録】ですが、お付き合いください。
好天の下、徳本峠へ向かう
【初日】2015年8月16日(日)
午前8時半ころ、同行者のO君、Y君、初日の徳本峠に付きあうTさんと、沢渡駐車場にマイカー集合、タクシーに乗り換えて上高地へ。
早々に歩き出す。明神館。絶好の天気に恵まれた。気温は18度Cと高め。
ここから横尾方面に5分ほど歩くと、徳本峠との分岐。ここに重い荷物をデポし、サブザックで歩き出す。樹林帯の登りが続く。2時間弱で徳本峠(2,140m)に着いた。1分ほど歩いて展望台。
西側に見える明神岳(2,931m)、奥穂高岳(3,190m)、西穂高岳(2,909m)の山塊は、実にどっしりとしている。西穂山荘から西穂高岳までは比較的なだらかだが、その先、間ノ岳、天狗のコルなどはいかに急峻か、また、奥穂高岳を後ろから支えるようにジャンダルムがたたずむさまなど、青空を背景に稜線のシルエットを堪能させてもらった。
徳本峠小屋は歴史を感じさせる静かなたたずまいの小屋である。平らなテン場もあり、5張ほど野営していた。
下山道は花を愛でつつ…
デポ地点までの下山道では、花の写真にこだわった。名前がわからないのは毎度のことで、下山後に調べようと思っていたが、翌日、上高地バスターミナルに戻ったら、インフォーメーションセンターに、職員が撮った「夏の上高地周辺の高山植物」の写真がたくさん展示してあった。複写して、今こうしてブログを上げる段階で参考にさせてもらっているが、それでもわからないケースが多い。
これ(下)はタマガワホトトギス。上高地センターの写真による。
下は、オタカラコウか。キク科。花びらは5~9枚。
下は、葉を見るとキクの仲間のようだ。サワギク(別名・ボロギク)らしい。
下は、ムシカリか。別名オオカメノキ
下は、センジュガンピ。5枚の花びら先端が細かく裂けるのが特徴
下は、あちこちで見かけるヒメシャジンだろう。
下は、ヤマハハコ。
おまけ。明神館前のベンチで羽を休めるチョウ。お名前は?
そして、分岐へ戻る。
ゴミの放置に怒る
ここで遭遇したのが、我々がデポした荷物の横に置かれていたレジ袋。明らかに「ゴミ」である。持ち帰ることが絶対的な決まりなのに、なぜ放置されているのか。登山者ではありえない(と信じたい)。外国人を含め、軽装の上高地散策者たちもここまで入ってくるが、放置したヤツの口の中に、そっくり突っ込んでお返ししたい。(そうもいかないので、後でボクが回収した)
分岐でTさん(松本へ帰る)と別れ、男子3人組は徳沢へ。幕営のつもりだったが、インターネットの天気予報は翌朝6時ころから少量の雨が降ると伝えている。軟弱ではあるが、氷壁の宿「徳澤園」に泊まることにする。1泊2食付き1万円。
夕刻、徳沢園のバルコニーから、明神岳の夕景に酔った。
さらに午後6時過ぎ、宿の近くを散歩。明日行く中畠新道の方向を確かめる。遠くに見えるのは大天井岳(2,922m)。
徳澤園に泊まった翌日、いよいよ奥又白へ…
【2日目】8月17日(月)
未明から雨の音は聞こえていたが、起きて外を見ると、どしゃぶりと言っていいほどの雨量だ。周囲の山は雨に煙ってほとんど見えない。朝食を終えても状況は変わらず。きょうは奥又白池の往復を予定していたのだが、中畠新道の岩場は滑りやすくなっているだろう、特に下りがやっかいだ、などと考えた末、「撤退」することにした。
予定では2泊3日だったが、2日目で断念。登山とは言えないほどの行程になってしまった。快晴の初日に徳本峠往復ができたのが、唯一の救いだったな、とか、あるいは初日に奥又白往復をやってしまっていたらどうだろう、とか、あれこれ考えながら、ゆっくりと上高地へ下った。
沢渡駐車場から、安曇野市三郷の立ち寄り湯に移動、汗を流した後、ノンアルコールビールとざるそばで反省会をした。とにかく今回は残念のひと言。